大人から始める美術鑑賞:絵の見方がわかるともっと楽しい!
美術鑑賞を「学ぶ」ことで広がる新しい世界
日々の生活に少しゆとりができたとき、「何か新しい趣味を見つけたい」「心が豊かになるような時間を持てたら」とお考えになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんなとき、選択肢の一つとしておすすめしたいのが「美術鑑賞」です。
「美術鑑賞なんて難しそう」「知識がないと楽しめないのでは?」と思われるかもしれません。もちろん、何も知らずに作品を眺めるだけでも感動や発見はあります。しかし、少しだけ「学び」の視点を取り入れることで、美術鑑賞はもっと深く、もっと楽しいものに変わります。
生涯学習の観点から見ても、美術鑑賞は非常におすすめです。作品が生まれた時代の背景や、作者の生涯、描かれた意図などを知ることは、歴史や文化、哲学など、幅広い知識に触れることでもあります。それは、単なる趣味に留まらず、私たちの視野を広げ、ものの見方を豊かにしてくれる素晴らしい学びとなるでしょう。
この記事では、大人になってから美術鑑賞を始める方に向けて、絵の見方を知るためのヒントや、どこで学べるのか、どのように楽しめば良いのかをご紹介します。難しく考えず、まずは一歩踏み出してみましょう。
「絵の見方がわかる」とは?難しくない美術鑑賞の第一歩
「絵の見方がわかる」と言うと、専門家のように作品を批評できるようになることだと思うかもしれませんが、そうではありません。ここで言う「わかる」とは、「自分なりに作品と向き合い、感じ、考える手がかりを得る」ということです。
具体的には、以下のような視点を持ってみることから始められます。
- 何が描かれているかを見てみる: まずは、画面に何が描かれているのかをじっくり観察してみましょう。人物、風景、静物(果物や花など)、抽象的な形でしょうか。
- 色や形に注目する: どのような色が使われているか。明るい色?暗い色?暖色?寒色? 形は直線的?曲線的? 色や形から受ける印象は人それぞれで構いません。
- 自分がどう感じるかを大切にする: その作品を見て、楽しい、悲しい、美しい、不思議だ、など、率直な感情を大切にしてください。「この絵、好きだな」「苦手だな」という気持ちも、立派な感想です。
- 作品のタイトルを見てみる: タイトルには、作者が作品に込めたヒントやメッセージが隠されていることがあります。タイトルを知ることで、見え方が変わることもあります。
- 作者の名前を知る: どんな人がこの絵を描いたのだろう? と名前を知るだけでも、作品への親近感が湧くことがあります。
これらはどれも特別な知識は必要ありません。まずは「見る」こと、そして「自分がどう感じるか」を大切にすることから始めましょう。
絵の見方を知るための「学び」のヒント
美術作品をより深く理解し、楽しむために、少しだけ学びを取り入れてみましょう。
美術館の解説を読んでみる
美術館には、作品のそばに解説パネルが設置されています。ここに書かれている情報(作品名、作者、制作年、解説)を読むだけでも、作品の背景や見どころを知る手がかりになります。また、美術館によっては、作品の音声ガイドを用意している場合もあります。耳で情報が得られるので、絵を見ながら聞くことができ、理解を助けてくれます。
関連書籍やインターネットを活用する
気になる作品や作者が見つかったら、関連する書籍を読んでみるのも良いでしょう。「〇〇(作者名)入門」「西洋絵画の見方」といった、初心者向けの分かりやすい解説書がたくさん出版されています。
インターネットでも情報は得られますが、膨大で信頼性を見分けるのが難しい場合もあります。まずは公的な美術館の公式サイトや、評価の高い美術情報サイトなどを参考にすると良いでしょう。
【インターネットでの調べ方のヒント】 * 検索サイト(Googleなど)で「作品名 美術館」「作者名 生涯」「絵画の見方 初心者」といった言葉で調べてみましょう。 * デジタルが少し苦手な方は、まずは「作品名」や「作者名」でシンプルに検索することから始めてみてください。信頼できそうなサイト(公的な美術館のサイトなど)を選んで情報を読んでみましょう。 * 動画サイト(YouTubeなど)にも、美術作品の解説や美術史の入門動画があります。視覚的に学べるので、理解しやすいかもしれません。
生涯学習講座やワークショップに参加する
最も体系的に学びたい場合は、地域の公民館や生涯学習センター、民間のスクールなどが開催している美術史講座や美術鑑賞講座を探してみるのも良い方法です。同じ興味を持つ仲間ができるかもしれません。
また、作品を「見る」だけでなく、簡単な模写やスケッチをしたり、絵画制作の体験ができるワークショップに参加してみるのもおすすめです。実際に手を動かすことで、作品がどのように作られているのかを知る手がかりになり、より深く鑑賞できるようになります。
まずは「行ってみる」ことから始めましょう
あれこれ考えるよりも、まずは気軽に美術館に足を運んでみるのが一番です。
- お住まいの地域の美術館を探してみる: 大きな美術館だけでなく、町や区立の小さな美術館でも、興味深い企画展が開催されていることがあります。
- 好きなテーマや時代の展覧会を選んでみる: 「綺麗な風景画が見たい」「昔の日本の絵が見たい」「明るい色の絵が好き」など、自分の興味を引くテーマから入ってみましょう。
- 無理せず、短時間でもOK: 最初から全ての作品をじっくり見る必要はありません。疲れない程度に、自分が心惹かれる作品をいくつかピックアップして見てみるだけでも十分です。
まとめ:美術鑑賞の学びは人生を豊かにする
大人になってから美術鑑賞を学ぶことは、新しい趣味を見つけるだけでなく、感性を磨き、知的好奇心を満たし、人生をより豊かにするための素晴らしい機会となります。
絵の見方を知ることは、決して難しいことではありません。まずは美術館に足を運び、作品を「見て」、そして「感じる」ことから始めてみてください。そこに少しだけ「これはどんな絵だろう?」「どんな人が描いたんだろう?」という探求心(学びの心)をプラスするだけで、美術の世界はあなたの「生涯学習パートナー」として、新しい扉を開いてくれるはずです。
ぜひ、お近くの美術館情報などを調べて、美術鑑賞の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。